全般性不安障害(Generalized Anxiety Disorder)
全般性不安障害とは、いろいろなことが気になって、過剰な不安と心配が解消されない状態が 長期にわたり継続し、日常生活に支障をきたす状態のことです。
自分や家族に何か恐ろしいことが起きるのではないかと絶えず心配し、そわそわと落ち着かず、身震いをする状態になることもあります。
その結果、夜眠れなくなったり、疲れやすくなったり、 仕事が集中できなくなったり、と日常生活に影響を及ぼします。
全般性不安障害(GAD)
理由がはっきりしない不安感、いろいろなものに対する不安が度を越してしまいます。
たとえば、あるひとつのことが頭に浮かぶと、そのことで最悪の状況を想像し、あれこれと取り越し苦労をしてしまい、それが長時間続きます。具体的な例を挙げると、
★破産して無一文になったらどうしよう。
★会社が倒産し仕事を失ったらどうしよいう。
★家族が犯罪者にでもなったらどうしよう。
★台風で家が壊れたらどうしよう。
★戦争がおきたら死んでしまうかもしれない。
★癌に侵されているのでは?
など具体的にこれといった心配の種もないのに、 根拠もなく最悪のことを考えてしまいます。
また、この不安のために、落ち着きがなくなり、ものごとに集中できなくなることもあります 。自律神経の変調が伴い、頭痛や疲れやすさ、不眠などが出現し、日常生活に支障をきたします。
男性に比べて女性のほうが1.5倍~2倍くらい多く、大半は若い女性です。 10代で発症することもあります。
女性が多いのは、女性特有の心理的な要因、生理的要因、あるいは社会的に期待されるストレスなどが複雑にからみあって症状があらわれると考えられています。
主な症状
(身体症状)
★頭痛、頭重感、頭の圧迫や 緊張感、しびれ感
★めまい、頭が揺れる感じ
★全身に脈拍を感じる
★便秘または下痢、頻尿
(精神症状)
★些細なことが気になり、取り越し苦労が多い
★常に緊張してリラックスできない
★そわそわ、いらいらして怒りっぽい
★根気がなく疲れやすい
★もうろうとする、自分の体ではないような感じ
★集中力がない
★寝つきが悪く、途中で目が覚める
★記憶力が悪くなった感じ
★悲観的になり、人に会うのがわずらわしい
全般性不安障害の疑い
日本ではそれほど広く知られている疾患ではないため、多彩な身体症状のため、一般内科などの受診しても原因がわからず、 身体的な科の受診と検査を繰り返されている方も多いと思います。
全般性不安障害は、うつ病や他の不安障害を併発しやすく、 不安を紛らわす目的での飲酒によりアルコール依存症に陥りやすい疾患です。
全般性不安障害において、治療効果が最も確立されている精神療法は認知行動療法です。
認知行動療法は、環境刺激であるストレスとその反応である感情・認知(思考)・身体(自律神経)・行動の変化との相互作用を検討して、 精神障害、ストレス反応において生じている悪循環を断つことにより、症状の改善や問題の解決を図ろうとする治療法です。
人間の反応の中で、感情(不安、緊張、イライラなど) 意識的にコントロールすることが困難です。
認知行動療法は、意識的にコントロール可能な認知と行動に働きかけて修正することにより、 ご自身がおかれている悪循環を断つことによって、 感情や身体の反応を含めた症状を相互作用的に改善しようとするものです。